「アルコール依存症」とは

アルコールは脳に作用する薬物と同じで、常用していると徐々に飲酒量が増えていきます。これが長年続いていくと、精神的、身体的にさまざまな障害をひきおこしてきます。
いつも量を減らそうと努力しますが、飲み出すととまらなくなり飲み続けます。酒がきれるとイライラしたり、手指がふるえる、眠れないことがあり、飲酒すると症状がなおります。家族や自分自身を責めながら、飲むことをとめられず、そこから抜け出せないのです。周囲の人たちからは、意志が弱い人間だと思われたりします。しかし、これはアルコールに対して、コントロール不能な身体になっている「病気」なのです。

当病院のアルコール・リハビリテーション・プログラム(ARP)について

当院ではひまわり病棟をアルコ-ル専門病棟にしております。

入院期間は3ヵ月間です。入院後1ヵ月間は断酒に向けられた生活に慣れていただきます。2ヵ月目は人生をふりかえって、酒害についての認識をもつように向けてください。3ヵ月目は社会復帰前の調節をしていただきます。

入院期間中にアルコ-ルと自分の長い付き合いを振り返り、自分の病気について正しい知識をえてください。その上で断酒の意志を固めてください。一人では断酒はできません。断酒の輪を広げるよう仲間作りにはげんでください。

 午 前午 後
月曜日

アルコール専門外来
10:00~12:00

アルコール専門外来
13:30~
認知行動療法大ミーティング
14:00~15:00
火曜日集中内観終了、懇談会
10:00~11:00
毎週 グループミーティング(臨床心理士)
13:30~15:00
毎月 AAメッセージ
19:00~
水曜日毎週 認知行動療法ステップミーティング
10:30~11:30
集中内観開始
毎週 認知行動療法ステップミーティング
13:30~14:30
木曜日 第1・第3 回診
14:00~15:00
第2 アディクション相談
14:00~15:30
第2 三和断酒会 例会
19:00~20:30
第4 三和断酒会 例会
14:00~15:30
金曜日毎月 レクリエーション
院外活動
10:00~
第2・第4 ビデオ学習会
14:00~15:00
第3 三和中央病院断酒例会
14:00~15:30

月2回、集中内観を実施しています。
水曜日から始まり火曜日まで7日間
場所:内観療法室

アルコール依存症者の家族の方へ~回復を支える家族のために~

アルコールによって精神的、身体的依存に陥った人たちは日本中で、80万人以上いると推定されています。
決して特別な病気ではなく、だれにでも依存症になる可能性はあるのです。しかし、その大半はアルコールによる肝臓病や糖尿病などの身体疾患のために、一般病院で治療されています。その間、依存症者の家族は苦しみを抱え、どう対処したらいいのか悩んでいます。

断酒会に行ってみると、酒害者と共に参加している家族の笑顔が印象的です。アルコール依存症から回復した人たちとその家族の姿があります。アルコール依存症は、回復できる病気なのです。

アルコール依存症の治療のために専門病院を訪れると、そこで酒害について学習し、断酒のきっかけを見いだすために努力をします。退院後、断酒して社会生活を送っていくためには、本人1人の力では断酒継続は難しく、周囲の人々、家族の援助、協力が必要です。アルコール依存症の治療には、家族が自分自身の問題としてこの病気に取り組み、家族みんなで病気を治そうという雰囲気が生まれることが一番望ましいことです。

回復を支える家族のために

アルコールに関わる問題で最も影響深いのはその家族でしょう。アルコール依存症の家族は、なんとか今の生活を維持しようと必死になり、日常生活のほとんどのエネルギーをこの問題に費やしています。

飲んでいるときは冷ややかな対応をし、一方飲んでいないときは本人の人の良さを評価して、なんとかしてあげようという感情が作用して世話をやく行動に表れます。このような家族の感情は、アルコール依存症者との長年の共同生活で無意識にできあがっていきます。「病気」としてとらえるのでなく、不自然な対応になってしまっています。

アルコール依存症者と同様に不健康な人間関係は、家族(配偶者、子供たち)も精神的な障害に陥ってしまいます。

アルコール依存症という病気の回復のために、家族はどのように対処したらいいのでしょう。

ひとりで問題を解決せず仲間と共に考えていく

依存症者の家族のためのグループがあります。同じ悩みを持つ家族の助言を聞き、そこから経験を学ぶことで、依存症者への見方、とらえ方が変わってきます。

感情的な口論は避けましょう

本人の飲酒をやめさせるために、家族は最大限の努力をします。説教や怒りをぶつけます。しかし、アルコール依存症者はそれを理由にしてまた飲酒するのです。すべて失敗に終わります。

相手を変えようとせず自分自身を変えよう

アルコール依存症は飲酒のコントロールが全く不能になってしまった病気です。相手が変わってくれることをねがい、心を入れ替えろと言っても無理なことです。それよりも自分自身の生き方、感じ方を変えることが重要です。ひとつの方法として家族が内観をしてみることもよいでしょう。

自分の生きがい、楽しみをみつけましょう

依存症者の言動、行動にいつも不安な感情をもっていて以前のような生活ができなくなっています。自分自身の楽しみも犠牲にしてきました。

アルコール依存症について正しい理解をもつ

アルコール依存症はひとつの疾患として認識されています。ですから診断から治療法においても専門病院では行われています。家族の方がこの病気について正しく理解することが、早期治療に結びつくことになります。また、病気として認識することで家族の悩みも少なくなってきます。

依存症者のためにこれ以上世話をやかない

依存症者の飲酒問題の解決にエネルギーを費やしてへとへとです。本人が責任を取るべきことに対してはこれ以上手をかさないことです。

家族が心の健康を取り戻し、依存症者に対し適切な対応ができるようになることが、結局はアルコール依存症者を回復に導く近道なのです。