当診療室には、主に認知症の患者様、身体的・精神的障害を持った患者様が訪れています。そのため通常の歯科診療とは異なり、全身状態による制約、障害(麻痺など)による制約、精神的な制約が生じることが多々あります。様々な患者様に対応すべく、環境作りから診療の進め方まで、1口腔単位のみならず、個々人としての対応を考慮して診療に臨んでいます。
口腔内の状態はまさに十人十色です。特に当診療室においては、歯牙の欠損や重度の歯周病など、症状がかなり悪化した状態で来室される患者様も多く、患者個人の制約も相まって、治療は困難を極めることが多い状況です。しかし、市中の歯科医院と違い、その対応のために当診療室は存在しているのだと自負しています。
私が当診療室に赴任した際には来室する患者様の口腔内の悲惨な状況に非常に驚きました。大学病院や市中の歯科医院ではあまり見ることのなかった惨憺たる状況に、逆にやる気を出さずにはいられなかったことを覚えています。大きな問題としては病棟における口腔管理と口腔機能改善意識の欠如(口腔状態の放置)、治療後のメンテナンスが欠如していることが挙げられ、これまでに患者個々の病態と口腔内状態に適した歯科治療を行うこと、さらに患者様個人と当歯科診療室で管理を行うメンテナンス型診療へと変化させてきました。
ここ数年で老人の口腔環境に対する意識は、療養型病棟をはじめとし、老健施設、在宅ケアの現場においてもかなり向上してきていると考えられます。特に、誤嚥性肺炎の予防を目的とした口腔ケアは、現在その重要性がほぼ確立されたものとなっています。
ところが、まだまだ当院をはじめ、老人医療に携わる医療関係者や家族の方など、末端までその重要性(口腔ケアのみならず、「口腔の働き」の重要さ)が伝わっていないのが現状です。
歯科治療の究極の目標は、人間生活の上で口腔という器官の重要性について広く伝えていくことだと思います。話すこと、噛むこと、食べること、飲み込むこと、表情を作ること、その他口腔にはたくさんの重要な役割があり、それに気づかなかったために、今辛い目にあっている患者様も多いのです。制約があり歯科治療を躊躇されている方など、多くの方に快適な生活を送っていただくべく、日々邁進していきたいと思います。
歯科の入り口は院内売店横(リハビリ棟)にあります。車イス、ストレッチャーのまま入室できるよう、横開きの大きなドアとなっています。
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診療室内のトイレも間口を大きく取り、車イスでの移動を容易にしています。
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遮蔽されたX線室が完備されており、ここも入り口を大きく設置し車イスでの入室を容易にしています。
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診療室内は車椅子、ストレッチャーが入るスペースが確保されており、病棟からベッドのまま入室することもできます。
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ノーザのWiseStaff+perio(歯周病管理ソフト)を用いることにより患者様の口腔内の管理を明確化しています。
これはレセコンと連動しているため、患者様の治療履歴が一目瞭然となり、治療や管理を行う上で正確性が向上します。
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上記ソフトで管理する上で、入力にはポケットPCを用いています。
これにより歯周基本検査とPCR(染め出しによるプラークの観察)の管理が簡便かつ的確なものとなり、前回の結果と今回の結果を比較する上で患者様への情報提示が手軽に行うことができます。
さらに今までは手書きで情報を残していたものがペンタッチで簡略に入力することができ、診療に占める時間の削減により患者様の負担を減らすことができました。
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