普段生活していて、健康のすばらしさを実感することはあまりないと思います。特に、健康であればある程、ありがたさを忘れてしまうものです。口腔の機能が失われると、どういうことが起こるでしょうか?
口腔には、私達が普段気づかない多くの重要な役割があります。
咀嚼
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食物を噛み、食べやすくすること
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摂食
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食事を摂ること
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嚥下
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飲み込むことは生きるために重要な機能です
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顔貌の形成
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口元ひとつで人の顔は大きく変わります
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異物の認識と排除
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口の中は感覚が鋭く、小さな異物でも認識できます
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平衡感覚の維持
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正しい噛み合わせが平衡感覚を保ちます
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味覚
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食べ物のおいしさを感じる重要な感覚です
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構音・発音
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言葉を発する、口笛を吹く
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愛情、怒りなどの感情表現
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舌打ち、口をとがらせる、口元がゆるむ
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消化への関与
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唾液に含まれるアミラーゼ
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免疫物質の分泌
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唾液に含まれる免疫物質が異物排除
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脳への刺激
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噛む動作が脳への刺激になります
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呼吸への関与
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鼻とともに、呼吸するのに重要な器官です
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力の発生
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瞬間的な力を出すときに食いしばります
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ストレスの発散
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歯ぎしりなど
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(参考文献:EBMに基づいた口腔ケアのために:必読文献集;2002年:医歯薬出版)
口腔には普段気にもとめない重要な役割があり、上に挙げた口腔の働きをよく見てみると、生命維持とコミュニケーションに大きな役割を果たしていることがわかります。その働きがひとつでも欠けると、人間としての生活に大きな影響を及ぼします。
こういった役割を挙げてみると、精神医療、老人医療においては口腔ケアがいかに重要かということがわかります。口腔機能を低下させたまま放置することは、生きることの質を低下させたままでいることと同じなのです。
まずは適切なブラッシングが重要です。歯のみならず、粘膜、歯肉、舌なども含めて口腔内を清潔に保つようにします。個人のブラッシングでは補えない汚れや歯石などの付着については、歯科へ定期的に通院し除去することも重要です。
欠損や虫歯がある場合は、早めに歯科を受診して治療を受けましょう。1本の虫歯でも長く放置すると重篤な炎症に至る場合があります。また、欠損は歯並びの異常や顎関節の異常を来す場合があります。欠損が多い場合は尚更治療を急ぐ必要があります。咬合不良や虫歯に関連した肩こりなどもよく知られていることです。その他小さな口内炎など、ちょっとしたことでも速やかに歯科を受診して治療を受けることです。
個々に合った適切な治療を行った後は適切なブラッシングを行い、尚かつ歯科診療室での定期的なメンテナンスで口腔の健康を保つことが重要になります。
認知症の患者様においては、本人が訴えることのできない障害に対して、周囲のスタッフ・家族の方々が十分なフォローを行うことが重要です。
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